事件現場に残される「ABC鉄道案内」は、実在した鉄道時刻表ガイド。
『ABC殺人事件』との出逢い
『ABC殺人事件』と出逢ったのは高校生の頃。
父親の本棚にあったものを手に取りました。
わたしがアガサ・クリスティーにどっぷりハマるきっかけとなった作品です。
あまりアガサ・クリスティーのことを知らない人でも『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行殺人事件』などは聞いたことがあるのではないでしょうか。
もしアガサ・クリスティーに興味があるなら、そうした大傑作から読んでみるのもいいでしょう。
あるいはわたしのように、このキラリと光る名作『ABC殺人事件』からクリスティーの世界に入るのも大いにアリです。
この作品があなたのツボにハマったなら、わたしのようにあなたもアガサが大好きになること間違いなし!
多作の作家アガサ・クリスティーが、今後のあなたの読書ライフをいっそう素晴らしいものにしてくれるでしょう。
『ABC殺人事件』のあらすじ(ネタバレなし)
かの有名な名探偵、エルキュール・ポアロの元に届いた犯行予告から、物語は幕を開けます。
ポアロの相棒ヘイスティングスは、イタズラだろうと気にもとめません。
ところがポアロが抱いていた悪い予感が的中し、殺人事件が起こってしまいました。
しかも立て続けに何人もの命が奪われることに。
1つ目の殺人は、被害者の名前と場所にAがつき、2つ目の事件にはB、3つ目にはCと続きます。
さらにどの殺人現場でも「ABC鉄道案内」(実在した鉄道時刻表ガイド)が発見されます。
止むことのない犯行。
世間は恐ろしい連続殺人にパニックになってしまいます。
なんとか殺人を止めようとするものの、犯人に先を越されてしまい焦るポアロ!
果たしてポアロはこの凶行を終わらせることができるのか?
そして犯人はいったい誰なのか?
その動機は?殺人狂の仕業なのか?それとも…
クリスティー沼にはまる
最後に明かされる真相は、高校生のわたしにとって大きな驚きでした。
興奮のあまり、この作品で、高校の課題で出されていた読書感想文を書いたぐらいです。
(ちなみに次の読書感想文では『オリエント急行殺人事件』について書き、先生から「選書が偏りすぎないように」と注意されました。)
それまでのわたしは、シャーロック・ホームズシリーズばかり読み漁っていました。
もちろんホームズ愛に揺らぎはありませんが、犯人を推理して裏切られる楽しさをわたしに教えてくれたのはアガサ・クリスティーです。
多くのクリスティー作品と同じく、『ABC殺人事件』にも何人もの怪しい人物が登場します。
高校生のわたしは「この人かな?」とページをめくるのももどかしい気持ちで読み進めました。
今思えば、あのときすでに、クリスティー沼にどっぷりはまっていたのでしょう。
30年ぶりに読み返しても楽しめる作品
今回この記事を書くために約30年ぶりに読みかえしましたが、犯人が誰だったのか、うまい具合に(?)忘れており、また楽しむことができました。
自分がおばあちゃんになってから、またあまたのクリスティー作品を読み返すのを今から楽しみにしています。
ちなみに、この『ABC殺人事件』は、ポアロシリーズの中では少々暗い雰囲気を持っています。
その暗さに引きずられ、そしてわくわくする物語の展開に飲み込まれ、当時のわたしはまだ名探偵ポアロの魅力にほんの少し触れただけでした。
あれからすっかりクリスティー作品のトリコになり、いまでは日本で出版された作品の大半を読んでいるはずです。
そして読めば読むほどクリスティー作品とエルキュール・ポアロの大ファンになりました。
『ABC殺人事件』からクリスティワールドへ
主人公である名探偵ポアロの素晴らしさについては、またほかの作品でも語ることができるでしょう。
多作のクリスティーは、ポアロ以外のシリーズやノンシリーズもたくさん執筆しており、どれも心から楽しめるものばかりです。
わたしの好きなミステリーは、 謎を追う興奮と、愛さずにはいられない登場人物との出逢い、その両方を楽しめる物語です。
まさにアガサ・クリスティーはそうした作品によって、世界の数えきれない人たちを幸せにしたと言っても過言ではないと思います。
まずはこの『ABC殺人事件』から、クリスティーワールドへ足を踏み入れてみませんか?

